膵臓癌の大きな特徴は生存率の低さです。難治がんの代表格と目されるだけ合って、予後が悪い傾向にあります。これには大きく分けて2つの理由があります。1つは症状の進行が早く、転移も起こりやすいこと、そしてもう1つは早期発見が難しいことです。
毎年、健康診断を受けている方なら大きな病気があれば発見できると考えているかもしれませんが、実際には膵臓癌は検査を受けても見逃されてしまうことが多く、症状が進行してから初めて見つかることが多いのです。したがって、初期症状の段階で発見されることが少なくなっています。このことが治療を困難にする原因になっています。
すい臓の中のどの部分から発生するかによって、膵頭部がん、膵体部がん、膵尾部がんに分けられています。この中でも最も多いのが膵頭部がんで全体のおよそ60%を占め、膵体部がんが30%、膵尾部がんが10%となっています。また、すい臓の組織の中でも膵管にできる膵管がんがおよそ95%を占めています。
膵臓癌は増加傾向にあります。これには食事の欧米化が関係していると考えられています。決して他人事ではないのです。がんによる死亡原因の第5位を占めるものですので、実は意外に身近な病気なのです。罹患数は胃がんや大腸がんに比べて少ないものの、死亡率が高いため、このような結果になっています。
ガンの中でも生存率が高いものと、低いものがあります。たとえば、胃がんや乳がんは比較的生存率が高いものであり、膵臓癌はとても生存率が低い傾向にあります。診断を受けた時には遠隔転移を起こしていることが多く、このために手術が行えず完治を諦めざるをえないことも珍しいことではありません。たとえば、腹膜に種をまいたように転移する腹膜播腫が一例です。
症状は進行するまで現われませんので、自分で体調の変化に気付いた時には末期になっていることも少なくありません。自覚症状としては、黄疸や背中の痛み、腹部の痛み、急激な体重減少などがあります。他の病気によっても表れるものですので、特徴的な兆候とは言えません。黄疸は胆汁の流れが悪くなることで起こるもので、膵頭部がんの場合に多く現われます。しかし、膵臓癌になれば黄疸や背中の痛みが必ず現われるとは限りません。
治療を概観すると、効果が高いものの適用範囲が狭い手術と、多くの患者さんに使えるものの完治させるほどの効果がない抗がん剤や放射線治療に分けられます。根治手術を行えれば、再発率は高いものの、治る可能性もありますが、他の方法では完全に治ることはないと考えた方がよいでしょう。
抗がん剤はジェムザールやTS-1といった新しい薬剤の登場により、余命が長くなることや痛みを少なくすることには役立つようになっています。しかし、ジェムザールやTS-1をもってしても、腫瘍を消失させるには至っていません。
治療においては、困難な状況を十分斟酌した上で、信頼できる名医がいる病院を見つけておきたいものです。病院によっても予後の状態は左右されますし、専門医の力量は残された人生を変えることになります。治ることが少ないとはいえ、名医の治療によって余命が長くなるといったことは十分にありえることです。
ベストな環境で治療を受けられるようにするためには、患者さんが病院をしっかり選ぶことが必要です。1つの病院での検査や診断で満足するのではなく、セカンドオピニオンを活用して複数の専門医から話を聞くことを検討するのもよいでしょう。
末期膵臓癌における緩和医療
症状が進行して転移が進んでしまうと、末期になってしまいます。この状態では、手を尽くして治療しても治る見込みがない状態なのです。そのため、どれだけの余命が期待できるか、そして残された時間をどのように生きるかが重要になります。
たとえ完治させることはできなくても、膵臓癌の治療を行うことによって症状の進行を遅らせ、余命を延長させることは期待できます。抗がん剤は腫瘍を消失させるほどの効果はありませんが、進行を防ぐ程度の効果なら一般に見込めます。
また、痛み止めの使用などを通して、生活の質の向上を図ることができます。苦痛にさいなまれながら最期を迎えるよりは、体が少しでも快適な状態で残った余命を生きたいと願うのが一般的ですので、痛みのコントロールは重要なテーマです。緩和医療が充実している病院であれば、それだけ適切な処置が期待できるため、検討してみてもよいでしょう。
症状の進行度と膵臓癌の生存率
症状がどの程度進行しているかを表す基準として、病期(ステージ)があります。もっとも早期の0期から始まって、4期まであります。どれに該当しているかは、治療後の経過に深く関わっています。
生存率は、1年や5年といった一定期間が終了した段階で、どれだけの患者さんが生きていることができたかを表したデータです。たとえば、100人のうち、1年後に50人の方が生きていた場合、1年生存率が50%ということになります。
ステージと生存率は密接に関わっています。当然ながら、症状が進行しているほどに、生存率が下がっていくことになるためです。そのため、一般に生存率はステージごとに分けて計算されています。
膵臓癌の転移
転移を起こしやすい性質を持っており、完治を困難にさせる原因になっています。手術で摘出できない場所にも広がっていると手術をしても治すことができなくなってしまうためです。
転移にはリンパ節転移、血行性転移、腹膜転移の3つの形態があります。
リンパ節転移は、その名の通りリンパを通してリンパ節に広がっていくものです。病巣の付近のリンパ節については、手術の際に摘出することができます。血行性の場合には血液の流れを介するもので、腹膜転移は癌細胞が腹腔内に広がるものです。腹膜播種とも呼ばれ、腹水がたまる原因にもなります。
膵臓癌は肝臓への転移が多く見られる傾向があり、これは血行性転移の例となります。
早期発見が難しい理由
症状が進行するまで見つからないことが多く、診断された段階で余命が限られているケースも少なくないのが膵臓癌です。この理由として、まず無症状で進行していくことが挙げられます。背中の痛みや黄疸をはじめとした兆候が現れるのは進行してからであることが大部分であるため、本人も自覚することができず、病院に足を運ぶ機会も得られなくなりがちです。
有効な検診が存在していないことも関係しているでしょう。たとえば、胃がんや肺がん、大腸がんをはじめとして、いくつかのガンについては検診が広く行われており、自治体の費用助成制度もあります。死亡率を下げることが確認されているものもある中で、膵臓癌にはそのような検診が存在していません。
死亡率の高さから、他のガンと比べても患者数に対して死亡数が多い傾向にあるのですが、早期発見につながる検診がないため、死亡率を下げるための有効な対策もなかなか存在していないのが現状です。すでに症状が進行してから発見されるため、有効な治療法がないというケースが大多数を占めているのが、辛いところです。
すい臓の働きと位置
すい臓は胃や十二指腸、脾臓、の付近に位置しています。消化酵素であるリパーゼやアミラーゼを作る外分泌腺としての機能と、インスリンやグルカゴンを作って血液中に分泌する内分泌腺としての機能があります。インスリンを分泌する機能が正常に働かないと糖尿病にかかりやすくなります。
膵臓癌のほかにも、すい臓の病気としては慢性膵炎や急性膵炎があります。すい臓をいたわる食事としては、脂肪を摂取しすぎないことや、インスタント食品・塩分の多い加工食品を避けること、消化のよいものを食べることが挙げられます。また、禁酒や節酒を行うことや、カフェイン・香辛料を控えることも効果的です。
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